2012年11月24日

読書日記387:仕事は楽しいかね? byデイル ドーテン



タイトル:仕事は楽しいかね?
作者:デイル ドーテン (著), Dale Dauten (原著), 野津 智子 (翻訳)
出版元:きこ書房
その他:

あらすじ----------------------------------------------
出張の帰りに、大雪のため一昼夜空港のロビーに足止めされた「私」。そこで出会ったある老人に、つい仕事で鬱積(うっせき)した感情をぶつけてしまう。老人は実は、企業トップがアドバイスをほしがるほどの高名な実業家。その含蓄ある言葉に「私」はしだいに仕事観を揺さぶられていく。
本書は、将来への希望もなく日々仕事に追われる主人公が、老人のアドバイスに自己変革のアイデアを見いだしていく物語である。それは、唐突に繰り出される老人の言葉とそれを問いただす「私」の会話で展開していく。たとえば老人は「目標を立てるな」という。「私」は、目標がなければ進歩の度合いが測れず、軌道修正もできないと反論する。しかし老人は、斬新なアイデアや商品がなぜ誕生したかを説き明かし、それらが目前の課題に集中した結果であることを指摘。また、世の中は自分が目標を達成するまで待ってはくれないとも言う。そして「遊び感覚でいろいろやって、成り行きを見守る」「明日は今日と違う自分になる、だよ」などのアドバイスをおくる。

試すこと、日々変化が必要であること、偶然を見落としていること…。本書のこうしたメッセージは特別なものではないが、それを痛切に感じさせる語り口が独特である。「多くの人は他人を凌駕する人材になろうとしているけど、それを他人と同じような人間になることで達成しようとしている」などは、自分を振り返らせるのに十分である。

物語仕立てのビジネス啓発書としては「短編」の部類に入る本書。シンプルながら味わいのある1冊である。


感想--------------------------------------------------
本書は2001年の刊行以来、売れ続けている本です。全部で百八十ページ程度と、ビジネス書にしては薄い本ですが、なるほどと思わされることの多い本です。なによりストーリー仕立てになっているところが面白く、ビジネス書にしては読みやすい本だと思いました。

雪によってシカゴのオヘア空港で一晩を過ごすことになった主人公は、そこで不思議な老人と出会う。老人は主人公に成功のための秘訣を教えてくれた−。

本書はビジネス書というよりも、そのビジネス戦略の前の心構えについて書かれた本、といった方がいいかもしれません。ビジネス戦略の立て方や、成功するための方法について書かれているわけではなく「どのようにしたら成功する確率が高くなるか」について書かれた本といった方がいいかもしれません。


アイデアをいっぱい持つこと。ありとあらゆることをやってみること。明日は今日と違う自分になること。


本書で述べられていることを思いっ切り要約してしまうと、上の一文に凝縮されるかと思います。成功した人の話を読んだり聞いたりすると、「この人はなんてついていたんだろう」と思わされることがありますが、それはその人が「運を呼び込むようなことを行ない続けていたから」なのだということが、本書を読むと分かります。成功するためのチャンスを逸しないように常にあたりを見回す、失敗を恐れずになんでも試してみる。成功するための秘訣は、つまりは成功するための確率をどんどんとあげていく行動を取り続けることなんですね。

正しい戦略に基づき、正しいビジネス活動を展開したとしても、人間、必ず成功するとは限りません。成功するためには、とにかく「試すこと」を止めない。そうすれば十回中、一回くらいは成功するだろう、と言っています。「挑戦する」ではなく「試す」という言葉を使っているところがいいですね。「挑戦する」というと仰々しく聞こえますが「試す」だとすぐに簡単にできそうです。

翻って日本の状況を見ると、「日本の未来について話そう」にも書かれていた通り、日本という国では何かに「挑戦すること」、「試すこと」が非常にやりにくい環境にあります。何かに挑戦して失敗するという経験を積むことを拒むような雰囲気さえあります。こういった点を考えると、日本で大きな成功を収めることは難しいのかな、なんて考えてもしまいます。

平均より上の人があまりに多くて、みんな普通になってしまっているってこと

本書で印象に残った言葉の一つです。
現代社会では誰もが上を目指そうとするため、その「上を目指そうとする」ことが普通になり、上を目指しているだけでは普通から抜け出せない、というような意味です。本書では人と違うことをして、違う方向を向くことで、普通から抜け出すことを推奨しています。


命を削るような恐ろしい競争をして、だれが一番多く働いたか見極めようとしてるんだ。この競争でだれが勝利を収めるか?だれも。これは全員が負けるゲームなんだ。


もう一つ、印象に残った言葉です。際限なく膨らむ労働時間のなかで働き続ける人々を見て、老人が口にする台詞です。今の日本などにはこの言葉が当てはまるのではないでしょうか。「どうしたら、効率的に利益をあげて、成功を収めることが出来るか?」そうしたヒントになることも本書には書かれています。

本書はビジネス書を読む前の、マインドについて書かれた本、といった方がいいかもしれません。なかなかこういった本はないのではないでしょうか。「試す」こと、「明日の自分が今日と違う自分になる」こと、これはビジネスだけでなく、人生をも豊かにしてくれそうです。


総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):A


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posted by taka at 01:33| Comment(0) | TrackBack(0) | ビジネス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする