2012年10月13日

読書日記378:JOJO'S BIZARRE ADVENTURE OVER HEAVEN by西尾維新



タイトル:JOJO’S BIZARRE ADVENTURE OVER HEAVEN
作者:西尾 維新 (著), 荒木 飛呂彦 (著)
出版元:集英社
その他:

あらすじ----------------------------------------------
かつて空条承太郎の手によって焼き捨てられ、エンリコ・プッチ神父が切望したDIOのノート。世界の深淵で、DIOが探し求めた「天国」とは。小説家・西尾維新が、禁断の手記を再生する。“VS JOJO”第2弾。



感想--------------------------------------------------
荒木飛呂彦さんによる、改めて語る必要も無いほど有名な「ジョジョの奇妙な冒険」。現在は第八部が「ジョジョリオン」として連載中ですね。本作は「化物語」や「クビキリサイクル」で有名な西尾維新さんがジョジョのノベライズに挑戦した作品です。西尾維新さんが描くのは第一部、第三部でジョジョの敵役として登場したあのディオ。読む前から嫌が応にも期待が高まります。

プッチ神父が渇望し、空条承太郎の手によって消却された「ディオの手記」そこにはあのディオの知られざる思いが書かれていたー。

本作の舞台は第三部。そして物語は手記の形をとり、ディオの一人称で語られていきます。ディオの生い立ちから始まり、ジョースター家に入り、ジョナサンと対立し、石仮面の力によって吸血鬼化して、最後のジョナサンとの戦いまで、という第一部の内容を回想という形で描き、そして日本からエジプトへと向かう承太郎の一行との戦いという第三部の内容を現実という形で描き、この二つを交互に描きながら「なぜ天国を目指すに至ったか」というディオの想いが綴られていきます。このような独白の描き方はさすがに西尾維新さんが得意としているだけあってうまいです。文章を読み進めながら「ああ、西尾維新さんの作品だな」と実感できます。

ただ、残念ながら本作に限ると残念な点が多くありますね。
まず本作は上遠野浩平さんの手による「恥知らずのパープルヘイズ」と違って戦闘場面が全くありません。ディオの手記なのですから当然と言ってしまえば当然ですが、目新しいスタンドが出てくる訳でも、新しい敵が出てくる訳でもありません。ジョジョファンにとっては既に知っている内容が新たなディオの立ち位置から語られているだけで、刺激的な内容が全くないんですね。これが非常に残念な点の一つ目です。

残念な点の二つ目は、この小説で描かれているディオが、第一部、第三部で描かれているディオと、別人?と思わせるほど性格が異なる点です。ジョナサンに敗北した回想の途中や、承太郎一行に放ったスタンド使いの敗北の知らせを受けたりすると、ディオは簡単に嫌な気分になったりして、簡単に心が揺れ動きます。ここが非常に「ディオらしくない」と感じてしまいます。「化物語」の阿良々木暦や「クビキリサイクル」のいーちゃんのようなどこか優柔不断な男の子ならこの西尾維新さんの独特の物語の運び方が生きるのでしょうが、さすがにディオをこの描き方で物語化されると、「らしくないなー」って感じてしまいます。だってあのディオだよ?傲岸不遜で自分以外の存在を虫けらと同じと思っているディオだよ?それがこんな風にちまちま考えないよ、とか思ってしまいます。違和感を感じた点は、ブックレビューとかで他の人も書いていますがやはりここですね。

本作でエジプト九栄神とホル・ホースを前にしてディオは、「もしもこの十体のスタンドがチームを組んで同時に襲って来たら、さすがのわたしもひとたまりもなかろう」とか言っていますが、原作を読んでいると、とてもディオはそんなこと言いそうもないですね。エジプト九栄神とホル・ホースどころか、他のスタンド使いが全部揃っても決して自分の負けなど認めず、逆に傲岸不遜にふん、と鼻を鳴らして見下しているのがディオです。このあたり、ディオという存在の描き方がやはり根本からずれているなあ、って感じてしまいました。

西尾維新さんの作品は、一人称で主人公の独白か、主人公と誰かの会話のやりとりで成り立つことが多いため、確固たる信念を持って自分の道を迷わず進んで行くキャラクターは描きにくいのだろうな、って感じました。迷わないキャラって内面や独白を描いていても面白くないですからね。本作のディオとか、六部のプッチ神父とかは迷いが無く、確固たる信念の基に行動しているため、西尾維新さんの作風にははまりにくそうです。逆に西尾維新さんが悪役を描くのであれば、平凡なサラリーマンという表の顔を持ちつつ暗躍する第四部の吉良や、二重人格の第五部のディアボロなんかの方が、内面に葛藤を抱えていそうで描きやすいだろうなって感じました。

さて、「ジョジョの奇妙な冒険」は今年で25周年を迎え、今年は「ジョジョの年」だそうですね。ジョジョ展が開かれ、"VS JOJO"と称された作家とのコラボレーション企画も立ち上がっていて本作はその二作目です。一作目は先に紹介した上遠野浩平さんの「恥知らずのパープルヘイズ」そして三作目は舞城王太郎さんの「JORGE JOESTAR」が刊行されています。他にも乙一さんが本企画とは別に「The Book」と題してジョジョのノベライズを行っていますね。これらもいずれ読む予定です。やはりジョジョにはたまらない魅力がありますね。

総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):B


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タグ:jojo 書評
posted by taka at 20:47| Comment(0) | TrackBack(1) | JOJO | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする