2012年05月19日

読書日記346:麒麟の翼 by東野圭吾



タイトル:麒麟の翼
作者:東野圭吾
出版元:講談社
その他:

あらすじ----------------------------------------------
寒い夜、日本橋の欄干にもたれかかる男に声をかけた巡査が見たのは、胸に刺さったナイフだった。大都会の真ん中で発生した事件の真相に、加賀恭一郎が挑む。


感想--------------------------------------------------
東野圭吾さんの作品である本作は「赤い指」や「新参者」と同じように刑事:加賀恭一郎が活躍するシリーズです。本作は阿部寛さんや新垣由比さん出演で映画化もされていますね。図書館では千人を超える順番待ちの作品でしたが、ようやく読むことができました。

日本橋の麒麟像の前で殺されていた男。その男を殺したと目される被疑者は交通事故により意識不明の重態に陥る。二つの事件の裏に隠された真実とは−?

相変わらず東野圭吾さんの本は完成度が高いですね。本当にこの方の作品ははずれがありません。最初から最後まで一気に読めてしまいます。特に本作や「新参者」に代表される刑事:加賀恭一郎の活躍する作品と、「容疑者Xの献身」に代表される大学教授:湯川学ものは、安定して楽しむことができます。

本作を読んでいくと分かるのですが、一文一文の完成度が本当に高いです。ページ数こそ三百ページを超えているのですが、さほど文が多いイメージはありません。だから簡単にどんどん読み進めることができてしまうのに、読者の心をしっかり掴んでしまいます。一文一文が非常に良く練られており少ない文で、テンポを損なうことなく、必要な情報を過不足無く読者に提供し、さらに各登場人物の心情を的確に表現していきます。

もはや練達の極みですね。宮部みゆきさんの作品が多くの文でしっかりとした情景描写、心情描写を組上げて行くのとは対極にある気がします。並みの作家では書けないようなこういった文章を普通に書けてしまうからこそ、日本No1のベストセラー作家なのでしょうね。

本作は加賀たち刑事側と、被害者:青柳武明の家族、さらに被疑者:八島冬樹の恋人、中原香織の側の三つの視点が切り替わりながら描かれていきます。この視点の切り替えるタイミング、各キャラクターの心情、そして舞台となる日本橋の描写とそこに隠された謎の描き方、最後の結末までの描き方、どれもが非常に秀逸です。

また本作には過去の加賀が主人公として活躍した「赤い指」、「新参者」との関りも少し描かれていますので、この二作をあらかじめ読んでいると、さらに楽しめるかと思います。しかし著者は相当に日本橋に惚れ込んでいるのでしょうね。本作と「新参者」を読むとそれが凄く良く分かります。

さて東野圭吾さんの本は他にも「マスカレード・ホテル」や「ナミヤ雑貨店の奇蹟」などが出ていますが……。人気が凄まじいので、なかなか読むのは難しいかもしれないですね。これだけの質の作品を絶え間なく出し続けることが出来るということが、また凄さの一つでもありますね。


総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):A


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posted by taka at 21:04| Comment(0) | TrackBack(3) | 東野 圭吾 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする