2012年03月31日

読書日記339:マルドゥック・スクランブルーThe First Compression 圧縮 by冲方 丁



タイトル:マルドゥック・スクランブルーThe First Compression 圧縮
作者:冲方 丁
出版元:早川書房
その他:

あらすじ----------------------------------------------
なぜ、私なの?ー賭博師シェルの奸計により、少女娼婦バロットの叫びは爆炎のなかに消えた。瀕死の彼女を救ったのは、委任事件担当官にしてネズミ型万能兵器のウフコックだった。高度な電子干渉能力を得て蘇生したバロットはシェルの犯罪を追うが、その眼前に敵方の担当官ボイルドが立ち塞がる。それは、かつてウフコックを濫用し、殺戮のかぎりを尽くした男だった…弾丸のごとき激情が炸裂するシリーズ全3巻発動。


感想--------------------------------------------------
冲方 丁さんの作品です。「天地明察」、「バイバイ、アース」などを紹介してきましたが、この方の代表作と言えば、本作ではないでしょうか。いつか読みたいと思っていましたが、ようやく読むことができました。

少女娼婦であるルーン・バロットは、殺されそうになったところをドクター・イースターと事件屋ウフコックに救われる。「なぜ私なの?」その答えを探すために少女の戦いが始まる。

相変わらずこの著者らしい独創的な作品です。未来都市マルドゥック市を舞台に、少女娼婦バロットと事件屋ウフコックのコンビが自分達の存在意義をかけて戦う、というストーリーなのですが、そのストーリーの深さは秀逸です。未来都市の作りこみだけでなく、二人の性格や個性、戦う意義、その能力まで全てが詳細に創られていますね。

ストーリーは未来都市を舞台としている点や銃器を使用した激しい応酬などから「攻殻機動隊」を思い起こさせます。ただ「攻殻機動隊」などよりも、媒体が本ということもあると思いますが、各登場人物の内面により光を当てているな、と感じられます。特にバロットの戦う理由である、「なぜ自分なの?」という問いに対する答えを探すあたりや、バロットの過去の描写、考え方などはよく描かれていると思います。

あとはやはりアクションシーンですね。畜産業者との対決シーンやライバルであるボイルドとの死闘の場面は、読んでいて自然と胸が躍りますね。見せ場を良く知っているなあと思います。

いろいろと書きましたが、やはり鍵はこの世界観と、ルーン・バロットという主人公なのでしょうね。この世界とこれだけ個性的な主人公を作り出せる作者はやはり只者では無いと思います。個性的であり独創的であるのに全く浮いていません。しっかりと現実感を持った存在としてストーリーに根付かせる構成力もうまいと思います。

序盤はわりとじっくりとストーリーが進み、バロットの内面描写や各キャラクターの紹介的な意味合いが大きかったのですが、後半から俄然盛り上がりますね。そして唐突に非常にいいところで本巻は終わります。この終わり方では次巻も読むしかないですね。「バイバイ、アース」が個人的には好きだったのですが、これと同等以上の作品だと思います。

総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):A


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posted by taka at 09:08| Comment(0) | TrackBack(0) | 冲方 丁 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする