2010年06月20日

読書日記211:Another by綾辻行人



タイトル:Another
作者:綾辻 行人
出版元:角川書店
その他:

あらすじ----------------------------------------------
その「呪い」は26年前、ある「善意」から生まれた-。1998年、春。夜見山北中学に転校してきた榊原恒一(15歳)は、何かに怯えているようなクラスの雰囲気に違和感を覚える。不思議な存在感を放つ美少女ミサキ・メイに惹かれ、接触を試みる恒一だが、いっそう謎は深まるばかり。そんな中、クラス委員長の桜木ゆかりが凄惨な死を遂げた!この“世界”ではいったい、何が起こっているのか?秘密を探るべく動きはじめた恒一を、さらなる謎と恐怖が待ち受ける…。


感想--------------------------------------------------
昨年のこのミスの第一位がドラマ化もされた「新参者」、第二位がここでも紹介した「ダブル・ジョーカー」そして第三位が本作「Another」です。作者は綾辻行人さん。綾辻行人さんと言えば、「十角館の殺人」でデビューした本格ミステリーの大御所です。非常に期待して読んだのですが、期待以上の面白さでした。

夜見北中の三年三組に転入した榊原恒一は不思議な少女、見崎鳴(ミサキ・メイ)と出会う。恒一は鳴に惹かれていくが、なぜかクラスのみんなは鳴が「いないもの」として扱う。そして起こる惨劇―。

 ホラーにミステリー、そして青春小説、それらの全ての要素が非常に高いレベルでバランスしている作品―。
 本作を簡単に紹介するとこのようになるでしょうか。言いようのない恐怖を感じさせる「三年三組の呪い」、What、Why、How、Whoの四つの謎、微妙に進展していく恒一と鳴の関係、そして次々と起こる学園を舞台とした惨劇。どの要素一つとっても非常にレベルが高く、完成されています。
 特に私がうまいと感じたのはその構成力です。最初は何も分からない恒一の周りで起こる不可思議な出来事。物語が進むにつれて徐々に明かされていく謎と、さらに深まる新しい謎。この物語の進め方が絶妙です。最初は少し「?」という感じでしたが徐々に物語に引き込まれていき、1/4を過ぎた辺りからは読むことを止められなくなってきます。

 詳しくは読んでいただきたいのですが、この三年三組にかけられた呪いの正体、そして最後に全てが集約していく様は見事としか言いようがありません。さらに、最後に解ける一つの謎と、分かる全ての伏線―。「ああ、なるほど、そういうことだったのか」と膝を打ちたくなります。見事としか言いようがありませんね。
 本作は700ページ弱とかなりの量で、辞書と見間違うほどの分厚さです。最初は読みきることが出来るのかと不安だったのですが、そんな不安は読んでいくうちに吹き飛ばされてしまいました。

 綾辻行人さんの作品と言うことで古風な本格ミステリーというイメージを持つ方も多いと思います。ただ本作は不思議なことに、そのような雰囲気を感じさせつつもどこか瑞々しさも感じさせます。それはきっと恒一や鳴を始めとする各登場人物が「生きて」いるからでしょうね。あとがきに作者自身が恒一や鳴と別れるのが寂しくもあったと書かれていますが、やはり作者の登場人物への愛があるからこそ、このような名作となったのだと思います。最近読んだホラー、ミステリーの中では屈指の名作と言えると思います。私的にはこのミス二位の「ダブル・ジョーカー」よりも良かったと感じました。

 最後に…読みながらずっと感じていたのですが…十五歳、左目に眼帯、無口で社交的でない性格、ショートカット、屋上にいることが多い…。この見崎鳴という本作のヒロインの描写を読んでいるとどうしてもエヴァンゲリオンの綾波レイを思い出しますね…。レイとメイだし…きっと作者も意識していたのでしょうね…。

 あともう一つ。本作の表紙ですが、これも抜群にいいです。おそらくメイの絵なのでしょうが、どこか古典的でゴシック調で本作のイメージによくあっています。文庫化されることがあってもこの表紙でのこしてほしいなあ、と思いました。


総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):S


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タグ:Another 書評