2010年06月02日

読書日記206:コミュニケーションをデザインするための本 by岸勇希



タイトル:コミュニケーションをデザインするための本
作者:岸 勇希
出版元:電通
その他:

あらすじ----------------------------------------------
1万5000部突破!広告関係者以外からも、大反響。
デザインすべきは“仕組み”ではなく“気持ち”
■7つの実例から見る広告の新潮流
今電通で最も注目を集めるクリエーターのひとり、岸勇希が、自ら手がけた7つの代表的事例と、その手法を過去にないレベルで詳細に解説した、広告の最先端をまとめた一冊です。広告業界の今をリアルに感じることができます。

■広告業界以外の方にも楽しんでいただける本です
著者が実際に取り組んだ広告の仕事を題材に、人と人をつなぐコミュニケーションの本質について丁寧に解説していますので、広告業界の方だけでなく、ビジネスマンから学生に至るまで幅広い方々に楽しんでいただけると思います。接客や説得術、はたまた気になる相手の振り向かせ方など、日常のコミュニケーションで役立つヒントもたくさん詰まっています。



感想--------------------------------------------------
 本書は広告業界国内最大手、電通の本です。そして著者の岸勇希さんも現役の電通社員です。本書では実際に様々な商品のプロモーション・広告活動に携わってきた著者が、そのプロモーション・広告活動をどのように展開することで成功を収めてきたか、プロモーション、広告活動を展開する上で重要なことは何か、を事例を紹介しながら詳しく説明しています。

 本書の肝は実際の事例紹介の章である二章です。永谷園、ワールド通商、フマキラー、マリエールなどの例を通じてどのようにプロモーション活動を展開したのか、その意図はどこにあったのかを詳しく説明しています。この部分が最高に面白いですね。

 テレビ、ラジオ、新聞、雑誌、ネット、屋外、交通・・・。様々な媒体で広告は見かけますが、それぞれで広告の特性は大きく異なります。例えばインパクトの大きさやリーチの長さならテレビ、詳細はネット、信頼性は新聞、というようにそれぞれの媒体で得意分野が違うそうです。この特性を理解した上で、なおかつある媒体と別の媒体を連動させて広告を展開しています。このような複数の広告を使用することをクロスメディアと呼んでいますが、「クロスメディアは狙うものではなく、結果としてクロスメディアになる」と著者は言っていますね。

 本章の中で最も印象に残った事例はやはり永谷園の「冷え知らずさんの生姜シリーズ」というカップスープの例です。直接のターゲットであるOLからあえて外して女子大生をターゲットとし、ミスキャンパスとタダコピという仕組みをうまく使ってバズを引き起こして女子大生からOLにうまく流行を感染させて爆発的にヒットさせる―。テレビCMを使わずに、「これはなんだろう?」という興味をうまくターゲットに持たせて流行を広めていく方法は凄いと思いました。

 またワールド通商の例も面白いです。高級機械式時計「FRANCK MULLER」を売り込むために、商品の持つイメージに合わせて「分からない人には分かって貰う必要はない、分かる人にだけ買ってもらえればいい」と徹底的に尖った戦略を立てて、超難関ゲームで爆発的なキャンペーンを展開しています。商品の持つイメージとあわせたこういった戦略の立て方も、とても参考になります。

 本書の後半にコミュニケーション・デザイン3つの意識(Neutral、Simple、Faithful)、コミュニケーション・デザイン5原則(「思い込まずにインサイト」、「課題解決のためにありとあらゆる手法、選択肢を考える」、「メディアと表現を分離しない」、「仕組みではなく、気持ちをデザインする」、「結果に固執する」)というのが書かれています。

 この中では特に「仕組みではなく、気持ちをデザインする」という言葉が印象的でした。どうしても広告の仕組みを作ることが目的となりがちですが、それは手段であり、大切なことは顧客が「買いたい」と思う場面を想像し、その気持ちに合わせて仕組みをデザインしていくことだそうです。これはどんな商品についても言えることでしょうね。

 本書は広告業界に関心のある方のみならず、何かを「売りたい」と考えている人、全般にとって役に立つ本だと思いました。写真や図が多用されていてカラーですし、余白はたくさんありますし、非常に読みやすい本だと感じました。私は図書館で借りましたが、本書は買ってみようかと思います。

 あと、最後に、最も大切なことは、やはり著者も含めてみんな情熱的でこの仕事が好きで楽しく取り組んでいるのでしょうね。それは本書を読んでいてもよく伝わってきます。

総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):S


↓よかったらクリックにご協力お願いします
にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
レビュープラス
タグ:書評 岸勇希
posted by taka at 23:49| Comment(0) | TrackBack(0) | ビジネス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする