2010年05月08日

読書日記201:武士道シックスティーン by誉田哲也

本ブログで紹介した本もいつの間にか200冊を超えました。今後もよろしくお願いします!!



タイトル:武士道シックスティーン
作者:誉田 哲也
出版元:文藝春秋
その他:

あらすじ----------------------------------------------
武蔵を心の師とする剣道エリートの香織は、中学最後の大会で、無名選手の早苗に負けてしまう。敗北の悔しさを片時も忘れられない香織と、勝利にこだわらず「お気楽不動心」の早苗。相反する二人が、同じ高校に進学し、剣道部で再会を果たすが…。青春を剣道にかける女子二人の傑作エンターテインメント。


感想--------------------------------------------------
ストロベリーナイト」、「ソウルケイジ」で紹介した誉田哲也さんの作品です。「ストロベリーナイト」シリーズとは大分異なった印象を受ける作品ですね。剣道の名門高校の女子剣道部を舞台に、「勝利こそ全て」と勝負にこだわり続け宮本武蔵を心の師と仰ぐ磯山香織と、勝負に拘らず楽しい剣道を志す西荻早苗の話です。

全日本中学選手権で準優勝した実力者:磯山香織は市民戦で無名の中学生に負けてしまう。その中学生を追いかけて東松学園に進学した香織は―。

本作、香織と早苗の視点が切り替わりながら物語が展開していくのですが、まずこの両者のキャラクターが対照的でとてもいいです。敗北=死と考え、「斬る」、「殺す」といった物騒な単語がポンポン飛び出す香織と、楽しくやって、自分が成長できればそれでいい、と考えるどこかお気楽な早苗。相容れない二人の掛け合いや絡みが物語を盛り上げていきます。いやあ、文句無しに楽しい小説ですね。

剣道を通して悩み、考え、気付き、そしてお互いを理解し合っていく―。まさに青春小説の王道ですね。私は本作を読んでいて「ピンポン」や「風が強く吹いている」を思い出しました。物語の後半で生じる二人の心境の変化や、それを超えていく様もとても爽やかに描かれていますね。あと、これは名作と思える青春小説に共通している点なのですが、恋愛、という要素が全くありません。これもいいです。わき道にそれることなく、部活に青春の全てをぶつけている二人の姿がとても清々しいです。

作者の特徴かもしれませんが、文体がとてもテンポがいいです。「ストロベリーナイト」シリーズではこの文体のせいでとても読みやすいのですが一方で主人公の姫川たち警察の行動がどこか軽く見えてしまっていました。でも本作のように主人公を女子高生に据えるとその文体のテンポのよさが非常に生きてきますね。三百ページを超える作品なのにその長さを全く感じさせず、あっという間に読むことができました。本作、続編の「武士道セブンティーン」と「武士道エイティーン」も出ていますね。これらもそのうち読んでみたいと思います。

あと、本作は映画化もされていますね。まさに今、上映中です。磯山香織を成海璃子さんが、西荻早苗を北乃きいさんが演じていますが、この二人は原作のイメージにとてもよく合っていると私は思いました。これが逆だとだめでしょうね。ひたすら真っ直ぐな香織を成海璃子さんが、天真爛漫な早苗を北乃きいさんが演じるからこそ、いいのでしょうね。ただ、予告編などで制服で竹刀を持って決闘するシーンがありましたが、あれはちょっと・・・。本当に制服で打ち合うと確実に怪我しますからね。ちょっとやりすぎな気がしました。

青春小説の王道中の王道ですが、読んで損は全くありません。読み終わって清々しい気分になれる、良い作品でした。著者プロフィールに「本書は著者初の、人が一人も死なない青春エンターテインメントである。」と書かれていましたが…。ということは、本シリーズ以外の全ての作品では人が死んでいるのですね…。恐るべし、です。


総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):S


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posted by taka at 23:16| Comment(0) | TrackBack(1) | 誉田 哲也 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする