2010年04月07日

読書日記195:ソウルケイジ by誉田哲也



タイトル:ソウルケイジ
作者:誉田哲也
出版元:光文社
その他:

あらすじ----------------------------------------------
多摩川土手に放置された車両から、血塗れの左手首が発見された!近くの工務店のガレージが血の海になっており、手首は工務店の主人のものと判明。死体なき殺人事件として捜査が開始された。遺体はどこに?なぜ手首だけが残されていたのか?姫川玲子ら捜査一課の刑事たちが捜査を進める中、驚くべき事実が次々と浮かび上がる-。シリーズ第二弾。


感想--------------------------------------------------
 「ストロベリーナイト」に続く、女性警官:姫川玲子が活躍するシリーズの第二弾です。このシリーズは、姫川をはじめとした各キャラクターがとても個性的ですね。

 放置車両から発見された左手首。遺体はどこに?被害者の素性を調査する姫川たちの前に驚愕の真実が浮かび上がるー。

 本作は姫川たち警察組織が犯人と被害者を追う話の一方で、被害者と、被害者が息子のように思っていた三島耕介の視点からも物語が語られていきます。被害者の生い立ちや耕介の動きを追ううちに姫川たちが隠された真実を暴いていく、というストーリーになっています。
 本作で特筆すべき箇所は、被害者と耕介の生き様の描き方ですね。おそらくここに作者は最も力を入れて本作を描いたのではないでしょうか。強烈な父性をもって身寄りのない耕介を一人のたくましい人間として育てていった被害者:高岡。彼の耕介を思いやる意思の強さは凄まじい物があります。そしてその思いやりの裏にある真実ー。読み終えた時にはある種の感動さえも感じられます。

 ストーリーとしてはもちろん姫川をはじめとする警察側の調査場面がメインで進むのですが、本作の主人公は誰か、と言ったらそれは間違いなく高岡だと私は思います。警察側調査の場面や、姫川と同じ十係の日下の確執、菊田や井岡との関係、新人の葉山の活躍など、警察側のストーリーもそれなりに面白いのですが、やはり高岡の生き様の描き方の前には霞んでしまいますね。
 とくに最後の数ページの被害者の回想場面の描き方は凄まじいです。私は正視できずに眼を背けそうになりました。ここまで書ききるのもすごいですね。

 本作、前作の「ストロベリーナイト」でも感じたのですが、犯人、被害者側の描き方が凄まじく重いのに対し、警察側の描き方が軽いですね。大阪弁で姫川に言い寄る井岡、姫川のことを愛する菊田、係長の今春、など個性的なのですがあまり重さを感じさせないキャラクターが多いため、ちょうどいいバランスになっているように感じました。(犯人、被害者、警察と全て重いと、なかなか読み進めることができないです。)あと、本作では警察側の主役は姫川というよりも日下でしょうね。この人もいろいろなものを抱えていて、今後の作品でもその持ち味を発揮してくれそうです。

 前作「ストロベリーナイト」では、まだ各登場人物が落ち着かずどこかふわふわしている印象があったのですが、本作は二作目ということもあって、各キャラクターの居場所もしっかり固まって落ち着いた感があります。井岡のキャラクターだけはまだ受け付けにくいですが、それでも前作よりは気にならなくなりました。シリーズの続編「インビジブルレイン」も読む予定です。あと映画化される「武士道シックスティーン」も。いろいろな作品を読んでみたくなる作家さんです。

 あと、タイトルの「ソウルケイジ」はスティングのアルバムのタイトルから来ているのですね。解説を読むとその辺の成り立ちもわかりますよ。



総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):A


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posted by taka at 20:48| Comment(0) | TrackBack(1) | 誉田 哲也 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする