2010年03月10日

読書日記188:ビジョナリーカンパニー2 byジェームズ・C・コリンズ



タイトル:ビジョナリー・カンパニー 2 - 飛躍の法則
作者:ジェームズ・C. コリンズ (著), 山岡 洋一 (翻訳)
出版元:
その他:

あらすじ----------------------------------------------
ベストセラー『ビジョナリーカンパニー』の著者が7年ぶりに書き下ろす 飛躍企業11社の秘密!!
ごく普通の会社が、世界有数の経営者に率いられた超一流企業に勝るめざましい業績をあげるまでに変身した。全米1435社の中から選ばれた傑出した業績を長期間持続させることに成功したジレット、フィリップ・モリス、キンバリー・クラーク、ウェルズ・ファーゴ等の飛躍を遂げた企業11社をそれぞれの業種で競合関係にある企業と詳細に比較・分析した結果、飛躍したこれらの企業には共通した以下のような特徴があった。

●飛躍を導いた経営者は、派手さやカリスマ性とは縁遠い地味なしかも謙虚な人物だった。その一方で勝利への核心を持ち続ける不屈の意思を備えており、、カエサルやパットン将軍というよりは、リンカーンやソクラテスに似た思索する経営者であった。

●飛躍を導いた経営者は、最初に優秀な人材を選び、その後に経営目標を定める。目標にあわせた人材を選ぶのではない。

●飛躍を導いた経営者は、自社が世界一になれる部分はどこか、経済的原動力は何か、そして情熱を持って取り組めるものは何かを深く考え、必要とあればそれまでの中核事業を切り捨てる判断さえ下す。

●劇的な改革や痛みを伴う大リストラに取り組む経営者は、ほぼ例外なく継続した飛躍を達成できない。飛躍を導いた経営者は、結果的に劇的な転換にみえる改革を、社内に規律を重視した文化を築きながら、じっくりと時間をかけて実行する。

飛躍した企業と比較対象企業の例 ジレット vs ワーナーランバート フィリップ・モリス vs R.J.レイノルズ キンバリー・クラーク vs スコットペーパー ウェルズ・ファーゴ vs バンク・オブ・アメリカ


感想--------------------------------------------------
 本書「ビジョナリーカンパニー2(英題:Good to Great)」はジェームズ・C・コリンズの名著「ビジョナリーカンパニー(英題:Built to Last)」の続編として刊行されました。
 「ビジョナリーカンパニー」を読んだマッキンゼーの幹部から「ビジョナリーカンパニーは優れた本だが役に立たない。なぜならビジョナリーカンパニーに出てくる企業は初めから偉大な企業であって、普通の企業が偉大な企業に成長するための方法は書かれていないからだ」という指摘を受けたことを出発点として本書は描かれています。そして、結果として本書は「ビジョナリーカンパニー」の前編にあたるものであった、と著者は説明しています。

 本書の中で著者が率いるチームは、フォーチュン誌のアメリカ大企業五百社に登場した企業の中から株式運用成績を基準として11社を選択し、その企業に共通する内容と、比較対象企業の相違点から飛躍する企業に共通する項目を洗い出しています。読んでまず感じる点ですが、調査の内容が非常に合理的で理論的です。各章で示される指針が全てデータを基に洗い出されており、著者たちの感想や予測といった曖昧な部分は完全に排除されています。そしてその結果、著者らの予想を裏切る結果も次々と現れています。

 また書き方も非常にダイナミックで、考えられています。各章で示された概念を実例を基に説明していくため非常に文章に説得力があります。読んでいて一流の小説を読んでいるときのような昂揚感を感じる人もいるかと思います。これは著者の功績はもちろんのこと、訳のうまさにもよると思います。

 本書の中では飛躍した企業に共通する概念として、「第五水準の経営者」や「針鼠の概念」、「弾み車の理論」などが上げられています。各項目の詳細な紹介は避けますが、まずは適切な人材を集めて正しい方向に目標を設定し(目標設定→人材を集める、ではない点がポイント)、後はひたすらシンプルにものごとを運ぶ、ということですね。逆に派手な買収や関係ない分野への事業の多角化を行なった企業はことごとく失敗しているそうです。これらは当たり前のことかもしれませんが、データの裏づけがはっきりしているため説得力があります。

 本書を読んで気になった点は二点です。まず一つは「株式運用成績」のみを基準としている点です。本書は「偉大な企業」を作る指針を示した本ですので、経営者にとってはこれでいいのかもしれませんが、我々のような一般社員にとっては企業が偉大であることと同様に「社員が働き易い環境か」ということもとても大事です。必ずしも「偉大な企業」=「社員が働き易い企業」というわけではないのですから。(相関関係は高そうですが。)
 二点目はこの法則では日本企業でも通用するのか?という点です。本書の中では、「飛躍した企業では経営陣が白熱した議論を繰り返すことで社の方針を明確にしていった」という記述が多くあります。しかし、これは議論をすることが当たり前になっているアメリカ社会だから通用することではないかと思います。日本で白熱した議論を毎日のように展開したら後々の人間関係に禍根を残してしまうことも多々あるのではないか?と考えてしまいます。日本への適用についても本が書かれていたりするのでしょうか?だとしたら読んでみたいですね。(ご存知の方は教えてください。)

 いろいろと書きましたが、さすがに世界中で読まれているベストセラー書だけあって、読みやすく分かり易い本でした。特に会社経営に関る方は読んで損はないのではないでしょうか?
 

総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):S


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posted by taka at 21:22| Comment(2) | TrackBack(0) | ビジネス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする