2008年09月13日

読書日記84:空の中



タイトル:空の中
作者:有川浩
出版元:角川文庫
その他:

あらすじ----------------------------------------------
200X年、謎の航空機事故が相次ぎ、メーカーの担当者と生き残った自衛隊パイロットは調査のために高空へ飛んだ。高度2万、事故に共通するその空域で彼らが見つけた秘密とは?
一方地上では、子供たちが海辺で不思議な生物を拾う。大人と子供が見つけた2つの秘密が出会うとき、日本に、人類に降りかかる前代未聞の奇妙な危機とはーすべての本読みが胸躍らせる、未曾有のスペクタクルエンタテインメント!!


感想--------------------------------------------------
 「図書館戦争」シリーズで有名な有川浩さんの作品です。「図書館戦争」シリーズの前に、自衛隊三部作と呼ばれる三作を書かれているのですが、その三部作「塩の街」、「海の底」、「空の中」の一作です。本作は空自ものですね。「大人ライトノベル」を目指して作った、と作者が言っているように、ライトノベルに近い文調の小説ですね。
 
 飛行機事故が相次ぐ空域を調査する空自隊員とメーカー担当者。そして、不思議な生物を拾った、飛行機事故で親を失った子供・・・。本作、序盤では事故を調査するメーカー担当者の視点と、不思議な生物を拾った子供の視点の、2つの視点で物語が展開されていきます。徐々に明かされていく秘密と、最初は別々だった二つの視点が絡み合い、最終的に一つの物語としてクライマックスに向かって行きます。
 
 ストーリーの展開は見事で、さすがだなあと思えます。でも正直私はこの”不思議な生物”というのがどうも最後までしっくりきませんでした。不思議な生物を拾って育てていくという展開が、なんか映画のガメラとかに似ているなあと思ったりしてしまいます。
 本作、”不思議な生物”はあくまで脇役/引き立て役で、主人公は遺族の少年・瞬やその幼なじみの佳江です。事故で親を失った苦しみから逃れるために、その苦しみを”不思議な生物=フェイク”で紛らわそうとする瞬。そして、佳江を守ろうとするあまり間違った方向に進んでしまった瞬を、なんとか引き戻そうとする佳江や宮じい。その内面描写の深さはさすがです。まだ子供だけれども、大人が思うほど子供ではない瞬や佳江の心情を、正確に表現していると感じました。
 本作、登場人物の心情描写などは本当に素晴らしいのですが、やはり、不思議な生物がね・・・。実際に存在しない生物を描き、さらにリアリティを持たせるのは難しいですね・・・。そこさえ気にならなければ、全然問題ないと思います。

 あと、本作、追加短編が一編追加されています。この短編は最高でした。本編の後日談的な位置づけです。この方の作品は最後が必ずハッピーエンドで終わるので安心して読めますね。わかっていてつまらないとは思いますが、それがこの方の作品の最もいいところだと私は思いますよ。

総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):B

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タグ:空の中 書評
posted by taka at 12:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 有川 浩 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする