2008年05月24日

読書日記61:赤朽葉家の伝説



タイトル:赤朽葉家の伝説
作者:桜庭一樹
出版元:東京創元社
その他:第60回日本推理作家協会賞受賞
    このミステリーがすごい!2008年版 国内部門第2位
    このミステリが読みたい!2008年版 国内部門第2位
    週間文春 2007ミステリーベスト10 国内部門第4位
    第137回直木賞候補作

あらすじ----------------------------------------------
 "辺境の人"に置き忘れたれた幼子。この子は村の若夫婦に引き取られ、長じて製鉄業で財を成した旧家赤朽葉家に望まれ輿入れし、赤朽葉家の"千里眼奥様"と呼ばれることになる。これが、わたしの祖母である赤朽葉万葉だ。

 ―千里眼の祖母、漫画家の母、そして何者でもないわたし。高度経済成長、バブル景気を経て平成の世に至る現代史を背景に、鳥取の旧家に生きる三代の女たち、そして彼女たちを取り巻く不思議な一族の姿を、比類ない筆致で鮮やかに描き上げた渾身の雄編。

 ようこそビューティフルワールドへ。


感想--------------------------------------------------
 ここでも何回も紹介している桜庭一樹さんの作品です。
"少女"を描き出すことに卓越した作家さんですね。本作では"少女"ではなく、時代と共に生きた三人の"女性"を描いています。

 1950年代から現代にわたって地方の名家で製鉄業を営む赤朽葉家の三代の女性、赤朽葉万葉、赤朽葉毛鞠、赤朽葉瞳子。未来を視る力を持った"千里眼奥様"の万葉、元レディースの総長で漫画家の毛鞠、そして何者でもない、普通の"わたし"である瞳子・・・。三人それぞれがその時代に翻弄されて生きる様をとても生々しく描き出しています。

 戦後復興後の産めよ増やせよの時代に生きた万葉、成長期が過ぎ去りフィクションの中に生きる若者が世を席巻した時代に生きた毛鞠、そしてものは溢れているのに、渇きを抱えた現代を生きる瞳子・・・。三人の女性とも私の眼から見るととても強い女に見えるのですが、三人とも否応なく時代の影響を強く受けて生きています。各々の時代を迷いや悩みを抱えながらめいいっぱいいきる三人、そして最後に分かる一つの真実・・・。読み終えた後には充実した読後感が残りました。

 特に圧巻なのは、1950年代から現代にわたる徹底した時代考証と舞台である鳥取の山村の情景描写です。時代背景や村落の描写のリアルさはこの方の他の作品と比較しても随一です。相当、研究されたのでしょうね・・・。

 二段組で300ページ超とかなりの分量の本ですが、その分、読み応えは抜群です。登場人物も非常に多いのですが、特に気にもなりませんでした。テレビドラマ化された「女系家族」や「華麗なる一族」に近いイメージの本ですかね。読み応えのある本に飢えている人にはお勧めの一作です。

 しかし・・・、この方の描く作品に出てくる女性は皆強いですね。あと、直木賞受賞作の「私の男」も読んでみたいですね。

総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):S
posted by taka at 15:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 桜庭 一樹 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする