2008年05月14日

読書日記59:ブルースカイ



タイトル:ブルースカイ
作者:桜庭一樹
出版元:早川書房
その他:

あらすじ----------------------------------------------
 西暦1627年、ドイツ―魔女狩りの苛烈な嵐が吹き荒れるレンスの町で、10歳の少女マリーは<アンチ・キリスト>に出会った・・・。

 西暦2022年、シンガポール―3Dアーティストの青年ディッキーは、ゴシックワールドの昏い眠りの中、絶滅したはすの”少女”というクリーチャーに出会う・・・。

 そして、西暦2007年4月の日本。死にたくなるほどにきれいな空の下で・・・。3つの箱庭と3つの青空、そして少女についての物語。


感想--------------------------------------------------
 また、桜庭一樹さんの本です。この本も、ここで紹介した「少女には向かない職業」、「少女七竈と七人の可愛そうな大人」、「赤×ピンク」同様、”少女”に関する作品です。

 本作品、中世ドイツ、未来のシンガポール、そして現代と、三箇所の舞台で繰り広げられるお話です。共通点は”少女”。作者は”少女”という概念が現在の日本にだけ存在する、非常に特殊なものであるということをこの作品の中で言っています。(中世のドイツや未来のシンガポールでは”子どもの女”か”大人の女”しか存在しない、とも言っています。)

 色んな作品を読めば読むほど、作者の桜庭さんは”少女”に大きな興味を持っていることを感じます。子どもでもなく、大人でもない。社会的に強い立場に居るわけではなく、社会の役にもたいして立っていないのに、「かわいい!」という言葉で流行を生み出し社会に大きな存在感を示す少女。時には友情に篤く、時には非常に残酷で、非常に気まぐれなこの”少女”という存在を、作者の桜庭さんは、本作ではまるで人間ではない別の生き物のように描いています。(自分も昔は”少女”であったにも関らず!!)

 本作は帯に「少女という概念をめぐる3つの箱庭の物語」と書いてあるように、概念的な小説です。ですので、各話とも明確な終わり方にはなっていません。特に、第三話の終わり方とか・・どうなの?と個人的には少し思ってしまったりもします。でも逆に、”少女”という概念に関する小説なんだ、と割り切って読むとそれはそれで面白いと思います。各話に登場する女性、マリー、チャム、ソラを比較しながら読むといいのかもしれませんね。

 この方の作品は、あと日本推理作家協会賞受賞作の「赤朽葉家の伝説」と、直木賞受賞作の「私の男」は読んでみたいですね。

総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):B
posted by taka at 21:42| Comment(0) | TrackBack(0) | 桜庭 一樹 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする