2016年12月03日

読書日記619:IBM 奇跡の“ワトソン”プロジェクト: 人工知能はクイズ王の夢をみる



タイトル:IBM 奇跡の“ワトソン”プロジェクト: 人工知能はクイズ王の夢をみる
スティーヴン・ベイカー (著), 金山博・武田浩一(日本IBM東京基礎研究所)
出版元:
その他:

あらすじ----------------------------------------------
IBMがその叡智を結集して開発した、自然言語を理解する驚異のスーパーコンピュータ「ワトソン」。今年2月に全米クイズ王を破り優勝するまでの、技術者の激闘1500日を描く「プロジェクトX」流ドキュメント!

感想--------------------------------------------------
いまではテレビのCMでもよく見かけるようになったIBMの「ワトソン」。人間の言葉を解する脅威的な能力を持つ人工知能、というイメージが強いですが、そもそもどのようにできあがってきたものなのか、知りたくて本書を読んでみました。

時はIBMのスーパーコンピューター「ディープブルー」がチェスの世界チャンピオン、ガルリ・ガスパロフを破った時代までさかのぼります。チェスの世界チャンピオンを破る事を達成したIBMのメンバーは、次の目標をどこに定めるか、について議論を重ね、有名なクイズ番組「ジョパディ」のチャンピオンを破り優勝する事を目的とします。

その道筋は並大抵でない事が本書を読むとよくわかります。チェスト異なり自然言語を「理解」し、問題の内容に沿った回答を導き出すためには、これまでと異なったアプローチが必要となります。機械に言語を「理解」させることができるのか?という内容の説明を読んでいると、その難易度の高さがひしひしと伝わってくるとともに、人間の脳がどれだけ高度な処理をこなしているのか、それもよくわかります。例えば二、三歳の子供でさえもできる形状と名称のタグ付けという単純な処理、様々な動物やを見て、その名称を答えさせる事さえも、非常に難しいことだということがわかります。

最初はジョパディの優勝者には遥かに及ばない成績しか残す事の出来なかったワトソンは、デイビッド・フェルーチ率いるチームが強化を重ねる事で、遂にジョパディのチャンピオンを破るまでに強くなっていきます。本書にもその様子が書かれていますが、出された問題に的確に答えていくコンピューターの姿は圧巻ですね。知識だけでなく、「ジョパディ」というクイズゲームに勝つためのゲーム戦略さえも適切に創り込まれているあたり、すごさを感じます。

個人的な感想として、本書を読む限り、人工知能が人間の頭脳を完全に上回るにはまだまだ時間がかかりそうです。しかしある分野だけであれば、比較的早く人間の頭脳の先を行く事ができ、人の頭脳を補完する役割を果たせるのではないか?と感じました。人工知能はホットな話題ですので、また関連本を読んでみようと思います。


総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):A
レビュープラス
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2016年11月27日

映画日記72:君の名は。

タイトル:君の名は。
監督:新海誠
その他:

あらすじ----------------------------------------------
千年に一度の彗星接近を間近に控えた頃、糸守というド田舎に住む女子高生の三葉は、東京に住む男子高生の瀧と身体が入れ替わることに気付く。いったい何が起きているのかー。

感想--------------------------------------------------
*ネタバレを含むのでご注意ください!!

爆発的なヒットを飛ばし続ける本作「君の名は」。ここのブログでも紹介しているように、新海誠作品は「ほしのこえ」、「雲のむこう、約束の場所」、「秒速五センチメートル」など、「言の葉の庭」以外は見ています。


もはや社会現象とまでなっている作品ですが、ああそりゃそうだよね、こんなど真ん中の恋愛ストーリーをこんなに直球で、こんな美麗な絵で描かれたらそりゃ感動するよね、という感じです。凝った仕掛けはたくさんあります。でも本作の中心に描かれているのは「結び」ですね。人と人の結び。それは家族であり、友達であり、恋人であり、あらゆる人と人との縁なのでしょう。

最も感動したのはラストです。大人になって「何かを探している」という漠然とした感覚に取りつかれたまま日々を過ごす三葉と瀧。「秒速五センチメートル」みたいな終わり方だったらどうしよう、って正直、どきどきしました。でもそこは杞憂でしたね。とてもいい終わり方でした。以前のブログにも書きましたが、「秒速五センチメートル」の主題は「人が前に進んでいくまでの時間」。そして本作「君の名は」の主題は「結び」。この違いですね。

なんかもう、これだけ青春ど真ん中の作品をド直球に描かれると、どんな年代にも受けちゃうんでしょうね。思春期の若者は自分事みたいにどきどきするし、大人や年配の人たちは、「結び」の強さに感動するし。これまで新海作品は絵はすごく綺麗なのに登場人物がみんな堅く真面目なイメージがあったのですが、本作の三葉と瀧は現代っぽくとても柔らかな印象を受けました。これもヒットの一因でしょうね。細田守作品を思い出すくらいに感情豊かでよく動きます。「時をかける少女」の影響もあるのかな、とか思ったりしました。

RADWIMPSの楽曲もいいです。個人的には話題の「前前前世」より「スパークル」の方が染みました。

あー、なんか嫌なこともあるけど、青春っていいねー。って感じです。ラストの二人の涙がとっても印象的で素敵です。二回も見ちゃいましたが、またみたいです。新海誠作品だけあってどのシーンもとても美しいので何回でも見れてしまいます。

総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):
レビュープラス
posted by taka at 18:09| Comment(0) | TrackBack(0) | 有川 浩 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年11月26日

映画日記71:シン・ゴジラ

タイトル:シン・ゴジラ
監督:庵野秀明
その他:

あらすじ----------------------------------------------
謎の生命体、東京湾に現るー。しかしお役所体質な政府は、有効な手を打てないまま東京への上陸を許してしまうー。

感想--------------------------------------------------
*ネタバレを含みます!ご注意!!

「シン・ゴジラ」、これも見たかった作品です。監督はあの「エヴァンゲリヲン」の庵野秀明。あの庵野秀明がゴジラを撮る。これだけで見るしかない、ですね。本日Twitterで開催されていたシン・ゴジ実況も無人在来線爆弾が炸裂し、凍結終了して一段落。ということで書いてみました。

庵野がゴジラを描くとこうなるのか、というかこれってエヴァの使徒をゴジラに置き換えただけじゃないか?とエヴァを見た人なら誰もが思ったことでしょう。迎撃する自衛隊の見せ方とか、カメラのアングルとか、音楽とか、完全にエヴァそのままで、エヴァこそ出てこないけど「エヴァだろ!」と突っ込みを入れながら見てしまいました。最終決戦の名前もヤシオリ作戦。ああご存知ヤシマ作戦のパクリですね。使徒ラミエル戦そのままで、懐深く攻め込まれ、居すわられた敵に対処しなければならないところまで同じです。電力と薬剤の違いはありますが多くの重機が並ぶ様まで同じで、もう笑いながら見てしまいました。

しかしそれにしても俳優陣、女優陣が豪華です。主役の長谷川博巳さんや石原さとみさんはともかく、チョイ役にこんな人を…!みたいなのが多くあって俳優探しも楽しめました。個人的にはちょっと壊れた学者の市川美日子さんとか弁当屋の片桐はいりさんとか、大杉蓮さんとか、よかったです。一方で主人公の長谷川博巳さんが薄い薄い…。周囲を活かしているんだからいいんでしょうね。石原さとみさんはちょっとアスカが入ってますね。

普通に見てるだけでも楽しいけど、エヴァを知っているからなおさら楽しめました。ゴジラなのにエヴァの新作への期待がとても膨らみました。もちろん、本作だけでも十分に楽しめます。ゴジラが人知を超えた完全なる悪役となっていて、東京を火の海にしちゃうあたりとかすごいです。政府の対応も最初はお笑いごとだったのに、最終的に国家存亡の危機にまでいってしまいます。コミカルとシリアスの切り替えとか、そのあたりのセンスが抜群にいいです。ゴジラも初期形態は「なんだこりゃ?」ってコミカルな感じだったのに、最後は本当にゴジラで、ゴジラのテーマ音楽が流れて、ああ、ゴジラだって感じでした。

色々な見方ができて、いろいろな楽しみ方ができる作品です。エヴァファン、庵野ファン、ゴジラファン、みんな楽しめます。

総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):S
レビュープラス
posted by taka at 10:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする